2 : 04 一角獣の歌

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ヤフーオークションに「孤児」

2001年 1月20日
記事ID d10120b

なかなかの美少年も出品されています。お好きなかたは、お早めに。……ってジョークです。適切な保護者がいないなどの理由で里親を必要としている子に、里親を見つけるための一手段として、インターネットは、たしかに強力。広い範囲から最も適した里親を捜すことが可能で、うまくすれば、当然、子どもの確実な幸せにもつながる。しかし、ある種の微妙な倫理的問題を感じる人々も多い。

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fig.3 Children up for Adoption; Cited from Adoption and the internet, BBC News

イギリスでは「異常小児愛者」への心配が異様に強いが(サラちゃん事件を発端とする「魔女狩り」では自殺者も出た)、それは、むしろ特殊な配慮で、イギリスの多くの人が持つある種の過敏症のようにも思われる。ネット経由にせよ電話経由にせよ手紙経由にせよ、最終的には面接等して里親を決めるわけだろうし、どんな方法で決定しても、結果として「成功」の場合も「失敗」の場合もある。「適切」と思われる里親候補が複数、名乗り出たとき、どうやって「当選者」を選ぶか?という問題も、べつにネット経由の場合に特有の問題じゃない。

それはそうなんだけれど、競売のカタログのように子どもの写真が並んでいるのを見ると、たしかに、いろいろ感じる人は感じるだろうし、最悪、貧しい国の人が、相手を問わず子を高く売ろうとする、という事態も想定される。物理的国境や行政境界を超越する、というインターネットの特性との関連において、この問題の核心は、「異常小児愛者」の問題のような特殊な事柄より、むしろ、世界の経済格差による人身売買、ひらたくいえば、子どもが外貨獲得の商品にされる可能性だろう。また、家族制にかかわることでもあり、国や地域によって家族法の理念が異なり、関連する価値観も異なる。インターネット上では基本的にだれもが対等で「平等」なのに、現実の物理世界には経済格差文化による価値観の差がある――という事実が、問題の本質だと見抜かねばならない。我々は「外国人の地位協定」や「平和条約」を結ばないうちに、国境を消滅させて行き来自由にした――当然、行き違いは生じうる。しかし、我々には知恵がある。平和条約を結ばなければ握手できないわけじゃなく、握手してから、必要になったらそのつど、条約を取り結べばいい。実際、昔から、いろいろな信条の人々が同地域に住んで、時にはケンカしたにせよ、それなりにうまくやってきた。「インターネットは無法地帯だからうんぬん」の批判は当たらない。法は必要になって作られる知恵で、一般には社会に先立って法があるわけじゃない。そしてネット社会は、生まれたばかりだ。

オークションのように子どもを「とりあう」ことの「倫理的」問題は、本質でない。実際、これは里親を見つけるための組織の、従来の活動においても、時に起こりうるコンフリクトだろう(同時に里親希望者が複数、現れた場合)。インターネットでは反応速度が速いので「ロックエラー」が起きやすくコンフリクトが目立つだけで、この点では、従来の場合と本質における変化は生じていない(同じ「化学変化」の「反応速度」が違うだけ――つまりネットは単なる「触媒」(しょくばい)にすぎない――この点においては)。むしろ素朴な観点からは、多数の候補者のなかから選択できるほうが有利ですらある。

商品にされるから必ず子が傷つくとは限らない。常識的な先入観を廃して冷徹に分析すると、結局のところ、「売られた」先で前より幸せになれる子もいるだろう――売買という行為に関する価値観を透きとおらせるなら、率直に「わたしは売られて良かった」ということも、ありうる。「家族制」を絶対普遍のものでないと見抜き「自分と環境」という見方をするなら、そのくらいクールだっていい。しかし半面、購入者に「自分が買った所有物」として虐待される可能性もある。それは問題だ。

たとえ明示的に売買されなくとも、子ども(あなたも含めて)が親や社会の「私物」として、自主性を不当に奪われている可能性は、つねに存在する、という点にも注意しておく。個人的な保護者がいないと事実上、子の生存が困難である「私有家族制」システムと、名目上の「子の自主性」のコンフリクトであった。「私有家族制」は生物界では珍しく、サル社会、類人猿社会、初期人類社会(西暦2300年頃まで)等の、ほ乳類にのみ存在し、人格が物理的外形を離れ純粋に情報論的に存在しうるようになると、ほ乳の必要もなくなって、自然解消した。

インターネットは物理的距離を克服する強力な手段だ。そして、なんであれ、強力な手段は、両刃(もろは)の剣(つるぎ)だ。

脚注つけるのもヤボなんですが、このサイトの記事は、とつぜんSFしてることがあります。すまして大まじめに書いてるのが「味」なわけで、頭が変なのだろうと誤解しないように。あなたがたの「頭が変」などという概念では到底とどかないのが妖精の現実なんだから。

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[af]アフガン制裁発効

2001年 1月20日
記事ID d10120

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国連制裁というと、「世界の国々が話し合って決めた」と思うかもしれないが、そうでないこともある。とくに今回は、国連自身も、アナン国連事務総長さえ反対してたのに、米ロのごり押しで、決まってしまった。

なぜ、そんなことができるのか?

国連安保理(あんぽり=安全保障理事会)のシステムのためだ。二次大戦に勝った連中が「常任理事国」になって、安保理の理事国が決めたことは、たとえ国連総会で百の国が反対しても、通ってしまう。

現実は、それ以上にすごい。NATOがユーゴ侵攻したときなんて、安保理決議さえ経ずに、アメリカの主導で強引にやっちまった。その結果、ユーゴは、ますますめちゃくちゃになった。劣化ウランを何トンもばらまいてもくれた。「平和維持」に行った米兵が、コソボの女の子をレイプして殺してまでいる。もう、なにがなんだか分からない。

今回の「安保理制裁」のたてまえは、二点。ひとつはラディン氏を引き渡せ、ひとつはアフガニスタン国内にある「テロ訓練基地」を閉鎖して国連の査察を受け入れろ、みたいな要求、それを拒めば制裁するぞ、と。一見、もっともらしい。イラクにからんでるのと、同じやり方。だけど、アフガニスタンの問題で徹底的に不条理なのは、そのテロ訓練基地ってアメリカ自身が作って、アメリカ自身が反政府ゲリラを組織、訓練してきた、っていう事実。冗談じゃないよ、日本の外務省の公式ページにも書いてあるから、
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/area/m_e/afghan/1.html
をひらいてみてほしい。

テロに関しては、ソ連軍駐留時代に米CIAによって建設されたゲリラ訓練施設が現在も存在すると言われ、これがアフガニスタン国外におけるテロ事件に結びついている、との指摘があります。98年8月に米軍がアフガニスタン国内を攻撃した際の目標も、これらの施設であり、国際的テロリストとされているオサマ・ビン・ラーディン氏が運営していると言われています(同氏はアフガニスタン国内に滞在している様子です。)。

いいかい、よく読んでごらん――「米CIAによって建設されたゲリラ訓練施設」が現在も存在する。「米軍がアフガニスタン国内を攻撃した際の目標」は、これらの施設なんだ。と。アメリカが自分で作った基地、自分で育てたゲリラを、アメリカは今、非難している。自分で作った基地をみて「テロ基地は許せない」とそこにミサイルを撃ち込む。なんなんだ? ――君が道を歩いていると、警官が近づいてきて「すいません、ちょっとこれ持っていてくれませんか」と荷物を渡す。「なんだろう」と思って、とりあえず受け取ると、そのとたん「銃器不法所持で逮捕する!」と手錠をかけられる。極論すれば、そういうこと。

アメリカ側、CIAサイトを見ても、
http://www.odci.gov/cia/publications/factbook/geos/af.html だけれど、
「mujahidin forces supplied and trained by the US, Saudi Arabia, Pakistan, and others」と書いてある。ムジャヒディーン(ジハッド=聖戦を戦うゲリラ。アラビア語でジハッドの動名詞がムジャヒド)を援助し、軍事訓練して組織してきたのは、ほかならぬアメリカ合衆国なわけで、アフガニスタンが共産政権だったときには、アメリカはイスラム原理主義者の反政府ゲリラを全面的に支援していた……オサマ・ビン・ラディンなんかは「聖戦」の旗印、英雄だったはずだ。それが、ソ連を追い払うという目的を達成しちゃったら、あとは捨てるだけ、というより、てのひらを返したように「テロの黒幕、極悪人」扱い。それだけなら「ひでえ態度だなぁ」という心理的な問題で済むけど、現実には、ゲリラたちに渡した何兆円だか相当の武器でどんどん内戦が泥沼化し、殺人や蛮行が広がり、アメリカが訓練したゲリラたちがアフガニスタン以外のところでもあれこれ始めて、どうしてくれるの? 全部アメリカ自身がまいたタネだぜ。つーか、その何兆円のばらまきっていうのは、ゲリラに対する武器援助うんぬんもさることながら、アメリカやその衛星国の軍需産業にとっちゃ……ねえ。

もちろん、ロシアだってアフガニスタン自身だって、たいていの国は、裏では、それなりに後ろ暗いことをしているとは思う。けど、アメリカっていうのは、とにかくアグレッシブ――それがアメリカの良いところでもあるんだけど、政治の表舞台の裏では核施設攻撃をホンキで検討してたり、自分がまき散らした武器をやっぱり買い戻そうと闇市場に参加したり、やることが荒っぽいというか大ワザ。敵がジャングルを隠れみのにしてると思えば、植物を枯れさせればいいのだな、と枯れ葉剤を大量散布するとかさ。アフガニスタンにも、そこに容疑者(とアメリカが言い張っている相手)が住んでいるというだけの理由で、巡航ミサイルを79発も撃ち込んでくれたし。

そのくせ、アメリカの最新鋭軍艦は、ゴムボートに攻撃されて、沈没しかかってやんの。「ゴミ回収船が来たと思って気にしてなかったら、敵だった」とは、まあ、のんきというか、おおようというか。細かいことにこだわらないのはアメリカの美点だったりもするんだけど。

とにかく「追加制裁」は始まった

まあ、とにかく、2001年1月19日、国連の名のもとにアフガニスタンに対する追加制裁が発効した。BBCの、Sanctions deadline for TalebanNew UN Sanctions start against AfghanistanAfghan fears over UN sanctions あたりから、現地の反応をひろってみる(ほかにもアフガン関連のニュースソースは多いが、それぞれクセがある。詳しくはリンク集のコメントを見てください)。

まず、なんといっても、「It has drawn public criticism from NGOs, humanitarian and political agencies, from the UN and even the UN Secretary-General, Kofi Annan, himself.」という事実を繰り返しておきたい。国連自身が反対しているのを、安保理(事実上は米ロの2国)がごり押しで通してしまった。「There is concern that the UN will lose its moral authority by seeming to side with the opposition in the Afghan civil war and that the Afghan economy is so weak any shock could hurt people.」これも前から何度も指摘してきたことだ。下のバカ画像のように、アフガニスタンの内戦とは、具体的には、タリバンと呼ばれる新勢力と、それに対抗する旧勢力諸派(その諸派内でも内輪もめがあったが、今は反タリバンという点でひとまず団結している――いわゆる北部同盟)の争いだ。その経緯は「アフガン紛争、ダイジェスト版」を見てほしいんだけど、今回の国連制裁は、このうちタリバンの側には、諸国からの武器等の援助を禁止し、その一方で、反タリバンの側には、じゃんじゃか軍事援助を続けてOKという「制裁」なんです(具体的には、反タリバンを直接援助してるのはロシア)。

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ケンカの仲裁(ちゅうさい)っていうの?ケンカが泥沼化してるのをやめさせたいと、もしホンキで思うなら、ケンカしてる双方をおさえるのが当たり前でしょ? それを、タリバンの側だけ世界中のみんなでおさえつけて、しばりつけて、北部同盟のほうには、「さあ、これを使って……」と武器を渡す。一方をみんなでおさえて、他方にはナイフを渡す。こんなことやって和平が実現できるわけないでしょうよ。いや、これでタリバン側を万一ボコボコにできて、けっ飛ばしておっぽりだして、反タリバン側のラバニを大統領にして「アフガニスタンには平和が訪れました」っていうの? そういう「暴力による解決」をテロって言うんでしょ? だいいちそんな安直な方法でラバニを大統領に戻したって今度はムジャヒディーン内部で権力争いが起こるに決まってる。そもそもムジャヒディーン内部の争いで追放されたラバニなんだから。

アメリカがテロうんぬんで非難している「タリバン」こそが、むしろムジャヒディーン諸派の内ゲバや市民への蛮行をやめさせた、という歴史的事実を忘れちゃいけない。タリバン兵士だって実際には、いろいろ荒っぽいことをやってるに違いないが、アメリカがほのめかすような「タリバンは悪で反タリバンは善」なんて、とんでもねえ。テレビの怪獣アニメじゃあるまいし。アメリカは正義の味方のヒーローってか。

国連だって、まじめにアフガン和平の努力をしてきた。ベンドレルのおっちゃんが、両陣営と関係諸国のあいだを行ったりきたりして、ねばり強い努力をつづけて、ようやく包括和平のきざしが見えていたのに、アフガン内戦と本質的には無関係なラディン氏のことなんかでいちゃもんつけて、上に書いたような一方をいじめまくるだけのわけわからん「制裁」なんて始めて、いっくらアメリカとして現状の流れで和平に持ち込みたくないからって、ここまで露骨に平和への道を妨害するようなことをするとは。国連の名のもとに上のようなことをやった以上、もうタリバンの側は、国連が仲介する和平交渉なんか信じない、国連なんか信じなくなってしまう。

で、れいによって、おおざっぱなアメリカのこと、「この制裁はタリバン政権を対象にしたもので、一般のアフガニスタン人には影響しません」なんて寝ぼけたこと言っているけど、制裁が始まる前から、そのウワサだけで通貨アフガニが暴落して(マーケットってそういうもの)、現地はインフレ、物価上昇、最低限の食料品も買えなくなってきている。BBCによると、現地の人も国連不信がつのって、もう人道的援助も中止されるのではないか、国境が閉鎖されて、このまま餓死凍死見殺しにされるのではないかと、呆然としていると。――今のところ、世界に見殺しにされるっていうのは現地での心配のしすぎだけれど、ソマリアなんかの例もあることだし、とにかく現地の人が、そう思ってしまうのは当然だと思う。

Chris Johnson, the director of a Kabul-based research organisation, the Strategic Monitoring Unit., believes the psychological impact of the sanctions on a people suffering from war, drought and poverty is already massive.

(内戦、去年の干ばつ、そして貧困によって打ちひしがれてきたアフガニスタンの人々にとって、国連制裁の衝撃は、心理学的にたえられる限度を大幅に超過していると、専門家は見る。)

"What they need to be able to see is some light at the end of the tunnel, some hope for a better future for their kids," she said. "And there's a huge belief still that the international community can help to deliver this. "

(「いつかはこの苦境から脱出できる見込みがあるという希望の光、子どもたちに未来があるのだという希望の光、どんなに小さな光でもいいから、それが必要なんです。これほどまでの差し迫った苦境にあるのだから、きっと助けてくれる人がいる、という「人道」「人間」というものに対する信頼があるわけです。」)

"And what these sanctions are doing is just knocking a huge hole in that, making them feel that absolutely everybody is against them. "

(「ところが国連――国際社会が、そんな彼らに“罰”を与えるという。このショックが想像できますか? 例えば大地震の被災地で多くの死傷者が出て、血を流してうめいている、食糧も医薬品も不足している。でも今にも助けがくるはずだ、今か今かとそれを待ち望んでいる。そこに“あなたがたには罰を与える。さようなら”というメッセージが届く。」)

xml:lang="en" "And ironically I think it will have absolutely the opposite effect to that which the United States says is intended, and it will drive people towards more extremist measures because they see absolutely no other way out of the situation they're in."

(「アメリカ合衆国が制裁の意図と称している事柄についても、まったくの逆効果でしかありません。人々は、いっそう極端な手段に訴えざるを得なくなる。尋常の手段、常識が通用しないと思い知れば、もはや非常手段に訴えるしかないでしょう。」)

At the moment, Afghans are simply demoralised rather than angry. But that anger may come, especially if the economic situation gets even worse and the Taleban continues to blame the international community.

(アフガン人は、今、もはや憤る気力さえなく、ただただ脱力している。だが、やがて、怒りが生じるだろう。とりわけ、国連制裁によって貧困がいっそう悪化し、タリバン政権も折れずに先頭に立って国際社会を非難しつづけるなら――。)

from Afghan fears over UN sanctions (BBC News)

その結果、例えば、アメリカの建物に対する抗議デモが過激になったとしても当然のことであり、まさにアメリカがたてまえとする意図は逆効果に終わる。北風と太陽の寓話を思い出す。

アメリカとロシア等の「グレートゲーム」――東西冷戦の代理戦争の犠牲になった、なんの罪もない人々。ムジャヒディン(ムジャヒディーン)やタリバン(タリバーン)といった政治にかかわる人々については、当然、光も影もあるでしょうが、一般のアフガン人には、ほとんど選択の余地もない。

“イスラム原理主義タリバン勢力が支配するアフガニスタンに対し、国連はテロの黒幕とされるラディン氏の引き渡しを求め制裁決議をした”……そんな表面的なマスコミ報道の裏には、武器をじゃんじゃか流し込むアメリカやロシアがいて、戦争のトラウマで笑いも泣きもしなくなってしまった子どもたちがいて、地雷で足を失った人々がいて、今この瞬間にも名ばかりの「難民キャンプ」で毛布もなく凍死してゆく人々がいて、それどころか行き場のない難民なのに国境の手前でストップさせて入国させてくれない冷たいタジキスタンがある。それすらもロシアの命令でやむなくなのかもしれないけれど。

だが何より、アフガニスタンの人々を、「かわいそうな、助けてあげなければいけない対象」“アフガン難民”“難民救済”と考えた時点で、そう考えさせようとしている時点で、君は大間違いをおかしている。そうじゃない。君と同じように、日々、眠って起きて、ごはんを食べて、夢をみて、小さな喜びをよろこんだり、悩んだり迷ったりしながら生きている主体なんだ。どうこうしてやる対象じゃなく、君と同じ生きる主体なんだ。

「国境のないインターネット」それが我々の新世界でしょう。じゃあアフガニスタンだって「国内」じゃないか。新潟で監禁されてた子、神戸の地震ですべてを失った子についてと同じふうに、同等の重みをもってひしひしと考えなきゃいけないんだ。少なくとも、そういう姿勢、そういう見方が必要なんだ(*)。――それも「犯人」は変質者や不可抗力の地震じゃない。あとは自分で考えてほしい。

(*) ブルキナファソなんて国名すらも知られていない国をあえて選ぶのも、そういうこと。ブルキナ・ファソの女の子も、同じように朝おきるのがつらくて、髪型でおしゃれしたり、学校で友だちとおしゃべりして楽しんでいる……。もちろん違うところもあるけれど、根っこの部分では同じなんだっていう意識を大切にしたい。“妖精”でさえもネ。

なお、この記事には、意図的に極論に近い書き方をしている部分もあります。論点を明確にするため、アメリカやロシアの大国が一方的に悪いみたいに書いてしまいましたが、大国を非難する趣旨じゃなく、とにかく関心をもってもらいたいってこと。島国ローカルのメディアが、ひとことも触れない世界のいろいろなことに。
引用した写真の出典:UNHCR Chief Sadako Ogata's Visit To Afghanistan: AP Photo, Photo Gallery (The Children Of War Organization)

良い子のみなさんへ(追記):上にあるように、この記事では、わざと一方的な書き方をしましたが、現実は、テレビ番組の「正義のみかた」と「悪役」のように、きっかり分かれるものでも、ありません。例えば、2001年2月11日の記事に書いたように、アメリカは、アフガニスタンへの人道的支援においても、最大の貢献をしているのです。いずれにしても、日本のテレビや新聞が伝えない状況をリアルタイムに近くお伝えすることができるのは、インターネットの新しいちからでしょう。本当はリンクしてある一次情報をみていただければさらに良いのですが、外国語が不得意なかたもおられると思いますし、さしあたっては、このサイトの記事が参考情報のひとつとして役立てば、なによりです。なお、一次情報との齟齬(そご)等がありましたら、ご連絡ください(アフガン問題を内容的に考えるのでなく、表面的なスタンスにケチをつけるような、幼稚な議論は、ご遠慮ください)。

決して当サイトの専属写真家というわけでは、ありませんが、現在、読者(NGO=非政府活動)の久保田さんがパキスタンまで行っており、アフガニスタンへの入国を試みております。久保田さんの写真は、Long Way to Goのページでごらんいただけます(日本語版も用意してあります)。なお、当サイトで表明される意見等は、すべて「RCとMSFをサポートする非政府の地球市民」(微笑)としての立場から、書かれており、いかなる政府、政府組織、国連、国連組織、または、筆者の所属する組織とも、無関係です。

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一角獣の歌

2001年 1月16日
記事ID d10116a

かが・うぃさーな(妖精訳)

分析する者の分析の楽しみをじゃませず、
笑う者に笑いのネタ、
無視する者に無視のネタ、
いかる者にいかりのネタを与えつつ、
さまよえ、ひとりで、ユニコーン。

むきになって、あやつろうとせず、
あやつらないことに、こだわらず、
何も残さなくてもいいでしょう、
ましてやこころなんて。
さまよえ、ひとりで、ユニコーン。

世の中には楽しいことがいっぱいで、
楽しいことには退屈がいっぱいで、
さめた物言いの裏にある地獄の履歴を忘れず、
さまよえ、ひとりで、ユニコーン。

「人への親切、世への貢献が生きることだ」なんて
自己をあざむかず、
自己をあざむかないことを言い訳にせず、
「価値」の多義性を越えて、
さまよえ、ひとりで、ユニコーン。

竹林の根のように、からまりあう、
さまざまな、おもわく。
からまりあう思いをセキュアな空間に仮想化し、
実体においてこそ、
さまよえ、ひとりで、ユニコーン。

野生の鹿のように、束縛されず、
餌を求めて、行きたいところに行くが良い。
外から束縛されない自律の恐怖を価値となし、
さまよえ、ひとりで、ユニコーン。

仲間だ、身内だ、友だ、味方だと群れるなら、
出家であれ、在家であれ、
群の論理にとらわれる。
君は、本当に一人で、この歌は嘘なのだから、
さまよえ、ひとりで、ユニコーン。

仲間と楽しく、親切に、心をこめてつきあいながら、
それをひとつの真実だと尊重しながら、
群の暖かみをいとおしみながら、
人間を深く信じて、
さまよえ、ひとりで、ユニコーン。

理屈をこねず、理屈をこねないことにこだわらず、
自慢をせず、自慢をしないことにこだわらず、
規範にとらわれず、「何ものにもとらわれない」というポーズにこだわらず、
孤高を演じず、気さくを演じず、
高貴で清冽な沈黙に入ろうとする安易な誘惑を退け、
おしゃべりによって、
すべてを見せ、あばきつくすことによってこそ、
――
この行が書けないからこそ、わたしは、ある。

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