趣味Web 小説 2005-09-07

Advice345 ピリカら

ご依頼人と Web サイトのご紹介

静岡県で生まれ育った中学3年生、瀬史せいやさん(誕生日は2月28日)のイラスト系ウェブサイト。せいやさんは飽きっぽい性格なのだそうですが、サイトの方は昨年10月にスタートしてからもうすぐ1年になります。中学生のウェブサイトは3ヶ月以内に更新を停止するケースが過半なので、偉いですね。第一志望校の文化祭に行ったり、塾でお勉強したり、中3の夏というのもいろいろ忙しいらしい。そんな中、サイトも更新しちゃうよ、というわけでご依頼と相成った次第。

私が塾で教えていた頃には既に、受験戦争は遠くへ消え去っていました。つまり、背伸びしなければ、誰にでも行き先はあった。生徒はそのことをよくわかっていて、身の丈にあった目標を立て、塾へ通うのが嫌にならない程度に頑張っていました。私の生徒はいい子ばかりで、全然勉強せず「どこだっていいや」と匙を投げることはなかったのでした。少なくとも授業中はまじめに頑張って、わずかな宿題もきちんとこなし、志望校に合格していきました。

現在の静岡の状況はわかりませんが、一昔前の千葉はそうだったわけです。「中3の夏休みにウェブサイト更新なんてしていていいの?」という疑問は、もはや古いといえましょう。でも、思うんですよね、受験戦争華やかなりし頃だって、みんなが「妥協する」ことを知っていれば、大半の生徒は気楽に受験に臨めたはずなのです。高校全入時代は80年代にはもう到来していたのだから。

いまだに受験のプレッシャーが子どもの性格を捻じ曲げて云々と主張される方がいるのですけれども、現場にいた私にはピンとこない。いまどきの親御さんはみんな物分りがよくて、子どもに無茶な期待をかけたりはしない。淡々とまじめに勉強していれば合格するくらいの学校の名前を挙げてくださる。講師はその期待に応え、本番でハプニングに遭遇し、少々気が動転しても合格するくらいの実力をつけよう、と頑張るわけです。もちろんそう甘くはなくて、ギリギリの合格でハッピーエンド。

塾長が面接である種の生徒をお断りしていたことや、個別指導塾だったから講師と相性のいい生徒を選んでいたといった事情はありましょうが、夏期講習の集団授業でふだん縁がない生徒などを見ても、一見してひどい子はいなかったように思う。みんなまじめに勉強しているわけだから、成績下位の子はずっと成績下位のままだったりするわけですけれども、それで本人が腐ってしまうことはなかった。「昨日よりちょっと賢くなった!」と親子ともども喜んでくれたので、嬉しかったですね。

……といった話は、アドバイスとはほとんど関係ありません。

ご相談の内容

アクセス数が、一日平均で30~50程度と、なかなか伸びないことが悩みの一つです。また、最近になってBBSを設置したのですが、書き込みすうが少ない事も悩んでおります。どうか助言をよろしくお願いします。

サイトにはアイフレームを使用しているのですが、それによるレイアウトの崩れや雰囲気が心配です。全体的におかしなところがないか、指摘していただけないでしょうか。

アドバイスいろいろ
1.理想的な自由競争の残酷さ

何だか毎回同じようなことを書いているテーマなので、今回はまず過去に私が書いた記事をいくつかご紹介します。

昨年10月スタートですから、もうすぐ1年。1年経ってアクセスが伸び続けている方が珍しいのです。瀬史さんのウェブサイトは、何か欠点があるからアクセスが伸び悩んでいるのではありません。

サイトのデザインは悪くない。アイフレームを使う必然性はわかりませんが(おそらく広告との兼ね合いなんでしょうけれども)、現在ではたいていの閲覧者が 1024×768 以上のディスプレイを使用しており、しかも初心者にはブラウザを最大化する強い傾向がありますから、レイアウトが崩れて見えている方は多くないでしょう。白という安全色に頼ったレイアウト、配色ですが、(白の効果もあって)そつなくまとまっています。

フレームの使い方も自然で、混乱のないナビゲーションが実現されていますね。物置(イラスト倉庫)のナビゲーションはよく考えられていますね。作るのも考えるのも苦労されたのではないでしょうか。またこれは閲覧者には関係ないことですけれども、各文書ファイルの命名規則まできちんとしており、今後リニューアルがあってもリンク切れしにくいことが予想されます。細部までよく手を入れていらっしゃるようで、好感を持ちました。

メインコンテンツのイラストも素晴らしい。デッサンの狂いはあるものの、塗りの素晴らしさが欠点を補ってあまりある。ウェブ拍手がコンスタントに届いていることからもお分かりの通り、じつはレベルが高い方に属しています。心にもないことをわざわざウェブ拍手で送ってくる人は珍しい。リスペクトのメッセージが絶えず届く状況は、誇りに思っていいでしょう。

これだけ素晴らしいウェブサイトなのに、なぜアクセス数が、一日平均で30~50程度なのか疑問に思われるのも当然といえば当然です。しかし、下表をご覧いただきたいのです。

リードミー順位とバナー呼出数占有率(2004-08)
順位総呼出数占有率日割平均
1-100(0.0-0.5%)37,063,14752.57%12354
101-200(0.5-1.0%)8,113,74311.51%2704
201-300(1.0-1.5%)4,677,4846.63%1559
301-400(1.5-2.0%)3,120,3834.43%1040
401-500(2.0-2.5%)2,296,4493.26%765
501-600(2.5-3.0%)1,808,4912.57%603
601-700(3.0-3.5%)1,407,2062.00%469
701-800(3.5-4.0%)1,168,1811.66%389
801-900(4.0-4.5%)982,4351.39%327
901-1000(4.5-5.0%)831,6631.18%277
1001-2000(5.0-10%)4,403,9286.25%146
2001-3000(10-15%)1,796,0522.55%60
3001-4000(15-20%)996,3371.41%33
4001-5000(20-25%)635,0520.90%21
5001-6000(25-30%)360,0000.51%概算値 12
6001-7000(30-35%)240,0000.34%概算値 8
7001-8000(35-40%)150,0000.21%概算値 5
8001-9000(40-45%)90,0000.13%概算値 3
9001-10000(45-50%)60,0000.09%概算値 2
10001-20000(50-100%)300,0000.43%概算値 1
合計 20,00070,500,551100.00%概算値 117

これは ReadMe! JAPAN という読み物系サイトが多く登録しているアクセスランキング集計サイトから昨年8月のデータを抜き出し、整理したものです。これはあくまでも読みもの系サイトのデータではあるのですが、順位ではなく割合に注目すれば、この表はほぼ一般的に通用するデータだと思います(経験的知見とよく対応する)。バナー呼び出し数が閲覧者数に対応しており、総呼出数が1ヶ月の合計、日割平均が1日当たりの閲覧者数です。

1日20~30人が訪問するサイトといいますと、上位15~25%に位置することがお分かりいただけるはずです。そう考えますと、現在のアクセス数は、概ね実力通りということができましょう。

ウェブが登場した頃、「庶民による情報発信の大きな可能性」が盛んに喧伝されました。結果はどうだったでしょうか。なるほどたしかに、個人のウェブサイトが、大金をつぎ込んだ企業サイトより人気があるという事例は多々あります。私のこのサイトも、勤務先の某大企業のサイトの10倍超の人気となっています。けれども、華々しい成功例にばかり注目すれば世界を見誤ります。

せっかく頑張ってウェブサイトを作っても、その半分は、1日に1人しか見ていない。それが世界の現実です。「理想的な自由競争」がどれほど残酷なものか、このデータは如実に示しています。私達の暮らす世界では、先進国と発展途上国の貧富の差、そして各国内の貧富の差について、なかなか課題が解決されないといって人々は怒っています。しかしそれらは、ウェブのアクセス数の格差とは比べようもない。

「凡夫と天才の差よりも、天才と天才の差の方が大きい」という言葉があります。たしかにそうなのです。御覧なさい、上位0.5%以内と上位1%以内との差を。倍率ではたしかに、凡夫と天才との差の方が大きい。だから天才は、みな手の届かない存在であるという点でみな同じように見える。けれども絶対値を見れば、圧倒的に天才同士の差の方が大きい。天才同士ならわかる、その差。

私は、「こうすればアクセス数を増やせる!」なんて話を軽々に書きたくはありません。それは出し惜しみをしているわけではなく、いってどうなるものでもないからです。

リンク先の記事はジョークとして書かれていますけれども、上質なジョークの少なからずがそうであるように、この笑いは世界の真実を見事に射抜いています。現在はまだ隠しているとてつもない才能があれば話は別ですけれども、今、机の上に並べている材料をどう駆使したって、天才たちに追いつき追い越していくのは難しい。それこそ天才的な計略と行動力が必要なのです。

質を下げずに更新頻度を上げる、人気サイトの管理人さんと(メールや掲示板で)仲良くなってリンクしてもらえるように頑張る、そういった無理を重ねてさえ、アクセス数はせいぜい3倍増でしょう。ふつうは、そこまでやっても倍増さえ難しい。だから、最初に示したリンク先記事にあるように、「現状に満足する」ことを勧めるのが妥当かもしれない……。1日20~30人が訪問するサイトというポジションは、決して低い位置ではないのです。

2.掲示板の書込みを増やすには

ウェブ上のコミュニケーションも結局、人間のやっている世界ですからね。平等なんてありえない。むしろウェブでは不平等が強調されてしまうわけです。

学校で友達100人といったら難しいわけですけれども、ウェブなら可能ですよね。とりあえず人気のある人の一言に数十人とか100人とかが意見や感想を書き込んだりすることができてしまう。一極集中の栄光は、周辺に広がる無人の荒野に支えられています。この構図は、サイトの訪問者数と何ら変わりがない。

サイトの訪問者数と書き込み数は、あまり関係ありません。ろくなコンテンツがないのにチャットや掲示板ばかり盛り上がっているサイトというのも存在します。それはキャラクターの問題であって、たいてい真似しようとしてもうまくいかないし、勉強しようとしたって失敗することが多い。

友達を「作ろう」と考えることは、まあ、無意味じゃないのだけれど、これまで友達が少なかった人がちょっとやそっと頑張ったって、結果はついてこない。そういうものです。

とりあえず、まず自分があちこちのサイトに書き込みをすることですね。しばらくバリバリ活動していれば、書き込み数が2倍くらいにはなります。あちこちに10~20個書き込みすると、1回くらい自分のところにも誰かが書きこんでくれる、そんなペースです。

えっ? それじゃ損だって? それはそうかもしれませんが、損とか得とかいっている間は、コミュニケーションはあまりうまくいかないことが多いだろうと思います。

3.デザインとイラストについて

イラスト単体として見せるイラストと、ウェブデザインの素材として用いるイラストは別個に考えた方がいいですね。例えば現在、表紙の右側に登場する女の子のイラストですけれども、足も手も頭も切れているのは大間違い。あの位置にあの構図のイラストを配置するなら、全身像にするべきなのです。

ただ、このアドバイスは実践が難しいかもしれませんね。別に絶対に全身像にするべきという話なのではなくて、あくまでも現在のページレイアウト、現在の絵の構図、それらを総合的に考えると、全身像にするべきだったといっているだけですから。当然、「総合的に考える」って何? という質問があろうかと思います。でもそんなこと、こんなアドバイスひとつ書く中で伝えきれるものじゃない。ただとにかく、現状はちょっと変だぞ、ということだけは気付いてほしい。

趣味でデザインする方向けの、すごく単純なルールをひとつご紹介しますと、「注に浮いている絵は切らない」これでたいていうまくいきます。「だったら頭と腕は、それぞれ上にバナー、右にスクロールバーがあるんだから切れてもいいんじゃないの?」という疑問がわくかもしれませんね。でも私は、それは違うと思います。上のバナーに頭を切られるのは不自然です(バナーの配置に全く必然性がない)。そして右のスクロールバーは離れすぎていませんか。

しかしまあ、こんなことをイチイチ考えるのは面倒くさいな、という考え方もありましょう。であれば発想を変えればいいのですね。ウェブデザインの一環としてのイラスト使用ではなくて、例えば「最近の傑作イラスト紹介コーナ」という扱いなら問題ありません。実践例を示します。以前、他のサイトへのアドバイス用に作成したデザイン案です。

サイトのデザインにイラストを溶け込ませる発想を排除し、イラストをイラストとして紹介する最もわかりやすく効果的な方法は、画像に枠線をつけることです。他にもレイアウトの工夫などでいろいろできますが、「とりあえず枠線」で切り抜けられる場面が多い。まずはこのテクニックを磨いて、他の方法は追々勉強されたらよろしいのではないかと思います。

4.HTML と CSS について

もしいわゆる「手打ち」でやっていらっしゃるのであれば、HTML と CSS について信頼できる解説サイトで再入門されることを勧めます。

ホームページビルダーのような、ソースを直接いじる必要がほとんどないソフトウェアをご利用中なら、別に勉強されなくともかまいません。タグ屋さんからスタイルシートの断片的な記述をコピペする程度のカスタマイズなら、さしたる手間でもないでしょうし……。

お勉強というのは、「初級レベルなら簡単です。時間もかかりません」といいつつそれなりに手間がかかるわけです。現在の瀬史さんのウェブサイト作成手法は、明らかに非効率です。けれども、ビルダーのようなソフトウェアを使っている場合、その非効率は案外、大きな障害にはなっていないと思う。お勉強の手間+慣れた方法を捨てて新しい方法に乗り換える大変さを我慢してまで、作業を効率化する意味があるかどうか……。

この件は、瀬史さんのご判断に任せます。

以上です。

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