『ハーバード白熱教室』 Lecture10 までのまとめ
NHKの教養番組『ハーバード白熱教室』がLecture10まで進んだので、ここまでの議論の流れを簡単にまとめておきます。
- 様々なケースにおいて人々が行う道徳的な判断を観察し、理論的な説明をしたい。
- 道徳理論には、大きく分けて帰結主義と定言的道徳律の2種類がある。(Lecture1)
- 帰結主義の典型は、社会の効用の最大化を目指す功利主義である。ベンサムが唱えた素朴な功利主義は、(いくつかの限定条件が付かない限り)現代の多数派の道徳観念とは相容れない。(Lecture2)
- 個人の権利を擁護し、高級・低級の概念を取り入れた、ミルの「血の通った功利主義」は多数派の感覚と合致する。(Lecture3)
- しかし「ミルの功利主義」は本当に功利主義なのか? 定言的道徳律を取り込んでしまっていないか? この疑問に答えるためには、定言的道徳律について学ばねばならない。(Lecture4)
- 定言的道徳律の典型は、自己所有の原則を掲げるリバタリアニズムである。だがリバタリアニズムは理論的帰結として課税を否定することとなり、それは多数派の感覚と異なっている。(Lecture5)
- リバタリアンが少数派なのは、論理に穴があるからではなく、自己所有の原則が共有されていないことが理由だ。(Lecture6)
- 自然権という発想から定言的道徳律を導いたのがジョン・ロックの哲学だ。ロックの哲学は合衆国憲法に取り入れられ、現在の社会の多数派の道徳観念と概ね合致している。(Lecture7)
- ロックの哲学は自然権の不可譲性を謳いつつ、社会的な合意によって形成された政府は(恣意的ではない)一般的なルールによって個人の権利の一部を制約できる、とする。(Lecture8)
- 社会的合意は、なぜそれほど強力なのか?
- 同意が有効となる条件を考える。まず、暗黙の強制による同意は無効である。また、きわめて生命のリスクが高い兵役を市場取引によって割り振ることは、多数派の道徳観念と合致しない。(Lecture9)
- 同意が有効となるもうひとつの条件は、情報の完全性である。また、妊娠・出産の市場取引による割り振りは、賛否の分かれる問題である。(Lecture10)
より詳細な情報
講義の内容をより詳しく知りたい方は、私が更新を続けている『ハーバード白熱教室ノート』を参照してください。
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注意書き
- 筆者は徳保隆夫(とくほたかお)です。1980年愛知県生まれ。千葉県成田市育ち。メーカーに技術者として就職後、関東各地を転々としています。……という設定です。
- 私の文章は全て実記ではなく小説なので、客観的事実と異なる記述を多々含みます。
- 著作権は主張しません。詳細はInfoで、過去ログなどはNoteでご案内します。