『ユースフル労働統計 -労働統計加工指標集-2011』から面白いデータをいくつか拾っていくシリーズ。とりあえずここまで。
少子高齢化が進む一方で、定年後の労働時間がどんどん減っている。なお若い人の労働時間が減っているのは、進学率の高まりと、自営業者の減少によるもの。サラリーマンは定年後に5年くらいしか働かないので、農家や自営業者が減ると、全体として労働時間が減る。
以下は、いつもの話。みな読み飽きていると思うので、読まなくてよい。
まず景気を回復して人手不足社会を実現した上で、「身体が動く限り死ぬまで働いて税金と保険料を支払い続けるのが当たり前」な世の中を復活することができたなら、少子高齢化の悪影響は相当程度まで改善が見込める。また日本の労働者が1000万人増えるわけだから、一時的には高度経済成長すらありえない話ではない。そうすれば財政危機も一挙に改善に向かうのだが……実現可能性はゼロ近傍。
2007年頃の若者が正社員になれない程度の「人手不足」のとき、若者の正社員化と遊休高齢者の雇用という話にはならず、外国から単純労働者を受け入れようという議論が盛り上がった。私の周囲でも、それを自然な議論の流れと考える人が大多数。世論がこれじゃあ、政治家が「遊休高齢者の活用で人手不足解消」という未来はないな、と思った。
末期の自民党政権で徴兵ならぬ徴農を訴える声が出ていたが、どうしてもやりたいなら引退して家でゴロゴロしてる元気な高齢者を徴農すべき。個人的にはそう思う。基本的に、農業は高齢者でもできる仕事。
「高齢者に働いてもらおう」というと、同じ職場に居座るケースを想像する人が多いようだが、そうではない。仕事を「生涯かけて取り組むもの」と狭く捉えるのは不合理で、世の中を眺めてみれば「高齢者にお願いしたい仕事」がたくさんあることに気付く。若い人がそうした仕事に張り付いているのは、もったいない。
人には、年齢や身体の状況に応じて、その時々に向いている仕事がある。長い経験を本当に必要としている仕事は、じつはそれほど多くない。だから、老人にできる仕事は老人がやる、若い人は若い人でなきゃできない仕事をやる、という社会の方が、経済的にはよさそうだ。問題は……人の心かな。過去に縛られる心。