夜の森。老人と少女。球状のロケット。
少女は使命を帯び、白煙を残し宙へ飛び立つ。
森の外れにある木組みの見晴台、ファラと呼ばれた少女が立っている。声をかけた少年の名はリッド。
リッドは猟師として野山を駆け回り、ファラは農民として畑を耕す日々を送っている。
最近、空の色がおかしいとファラはいう。青空の向こうにはセレスティアという世界が広がっており、2000年前まではこちらの世界:インフェリアと交流があったのだそうだ。変化を待ち望む少女、何事もない平和な生活を愛する少年。
一緒に空を見上げる二人。と、何かが落ちてくるのを目撃する。落下地点は近い! ファラは駆け出した。慌ててリッドは後を追う。
事実上、ここからキャラの自由操作が可能になる。なぜか有用なアイテムが落ちている森を走り回り、ファラを探す。どっちの方向に落ちたのか、リッドは見ていたはずなんだけど、プレーヤーには示されない不親切さ。闇雲に探索していたら森の出口へ行ってしまった。
探索中、モンスターだか動物だかわからないが、いろいろな生き物と戦闘になり、剣を振るって叩き斬る。鳥を倒すとたまごが手に入るのだけれど、ちょっとそりゃ変じゃないか。リッドが地面に鳥の巣があるのに気付かず踏み込んでしまったということか? しかし鳥が獣道に巣を作るかなあ。
宇宙船(?)の落下地点には少女と小動物。インフェリアの言葉が通じない。少女がリッドに抱きつくと、リッドの体が発光する。「ふぃぶりる!」歓喜する少女。が、大破した宇宙船から煙と異音。慌てて逃げる3人と1匹。
*本作では互いの名を呼びあう声が収録されている都合上、キャラに自由に名前をつけることはできないらしい。前作までは名前のところだけ声なしだったが、たしかに不自然だった。
最果ての村。畑と牧場、豊かな森。
村長にセレスティアから落ちてきた少女の報告をするリッドとファラ。しかし村長は「セレスティアからの訪問者はインフェリアに災厄を招く」との言い伝えに従い、少女を村から追い出すことを要求する。怒ったファラは、ならば自分も一緒に出て行く、と宣言する。
と、謎の男が壁を破壊して現れる。リッドとファラで撃退。憂慮が現実となり、村に災厄が起きたことで村長の説得はもはや不可能となった。「村を出て行くというなら、止めはしない」と村長。
ファラの家。設定年齢17歳の彼女は、この小さな家に一人で暮らしてきたのだ。身支度を整えたファラは少女と二人で出て行こうとするが、少女はリッドにしがみついて離れない。「ふぃぶりる」に執着しているようだ。リッドは「仕方ない」の一言で二人と行動を共にすることを決める。
行き先はミンツ大学。幼馴染のキールが学んでいるはずだ。キールなら異世界の言葉も解読できるのではないか、とファラは期待しているが、泣き虫キールのイメージしかないリッドには、彼に頼るということがうまくイメージできない。
納屋。リッドは可愛がってきた牛にしばしの別れを告げる。牧場主は村にトラブルを持ち込んだリッドたちが不愉快なようだった。
リッドの家。設定年齢18歳の彼もまた、この家で一人で暮らし、猟師として自立した生活を送っていた。ロフトの壁に父と仲間たちの写真が飾られている。
キールの家。キールの父が暮らしていた。最近、何か連絡がきたといったことはないようだった。
畑を耕している人に訊ねると、ミンツはラシュアンのはるか南、かなり遠いという。
旅人の店で装備を整える。安全ヘルメットをかぶった奇妙な鎧があったので、ちょっと突付いてみると、ワンダーシェフだった。戦闘不能を含む全ての状態異常を回復する料理:オムライスを教えてもらう。
村や森のビジュアルも旧作とは段違いだったけど、フィールドもまた、たいへんな進歩を遂げていて驚かされた。ただ、村や森での操作感は今ひとつで、アクションが苦手な自分みたいなプレーヤーはこういう何でもないところでもいちいち躓くんだよね……とぼやいていたんだけど、フィールドは操作感もいい!
今作では無料で「キャンプ」を張ることで、メンバーの会話を聞きつつ体力を回復し、また時間を進めることが可能。夜は敵が強くなるから、暗くなってきたらキャンプを張るといい、というわけ。
メンバーの会話は200種類以上用意されているそうで、ふつうにプレイしていく場合、一部しか聞けないようだ。当然(?)このプレイではコンプリートを目指さない。
リッド「準備がいいじゃねえか。わずかな時間で身支度もちゃんとできてるしよ」
ファラ「たしかに準備はしてたよ。いつかはラシュアンを出るときがくるんじゃないか、って、ずっと思ってたからね」
リッド「ラシュアン出て、どうするつもりだったんだ?」
ファラ「えっと……そこまで考えてなかった」
後で思い返すと意味深。
リッド「ラシュアンの森で爆発したあれ、何だったと思う? 空に浮かんでたよなあ」
ファラ「浮かんでないよ。落ちてきたんじゃない?」
リッド「なんで落ちてきたんだ?」
ファラ「重いからでしょ」
リッド「そっかー」
ファラ「そうそう。疑問解決! 一件落着!」
リッド「そうかあ?」
ラシュアンには学校がない。まあ就学率が95%超の日本でも、同程度の認識の人はけっこういるわけなんだけど。
橋を渡るとき、セレスティアから来た少女の名前がメルディ、彼女の連れている小動物の名がクィッキーだとわかる。
村の南へずんずん突き進むと桟橋が見えてくる。道が崖崩れで通行できないとかで、レグルス道場なる場所へ行くといい、とアドバイスされる。
道場はラシュアンの南西にある。かつてファラも通っていたという。
大道場でモンク8人を撃退するリッド。フランコ師範が登場。じつはこれ、優秀な入門希望者を見定める試験だという。しつこく誘われるも入門を拒絶するリッド。
「晶霊術」の訓練所でパオロに話すと、桟橋から筏(いかだ)を出してくれることになった。
リッド「ん〜、褐色の肌、額についているヘンな物体、通じない言葉、かあ。なるほどなあ」
ファラ「(身を乗り出して)何かわかったの!?」
リッド「全然」
ファラ「早くキールに会わなくちゃ」
そうですね〜。
プレーヤーが下手なので、岩や岸にぶつかりまくり。みんなよく筏から落ちなかったね……。
ファラ「ねえリッド、ほんとにほんとに私たち世界を旅してんだね」
リッド「世界〜? ほんのおつかいみたいな旅だろ」
ファラ「さあねえ〜、どうなることやら」
リッド「ちょっと、おいおいおいおい、キールに任せたら俺たちゃすぐ村に戻るんだろ」
ファラ「最後まで責任を持たなくちゃダメ! 何もわからない子を放り出すつもり?」
リッド「小さな親切、大きなお世話……ガァッ(頭をはたかれる)」
ファラ「ねえリッド、覚えてる? 小さい頃にさ、リッドとキールと3人で、いつか村を出て冒険しようって約束したよね。世界のどこかに……リッド? 寝ちゃったか。世界のどこかに、私の役に立てる場所がきっとあるって、そう思ったんだよ。思ってきたんだ、今まで」
これまた後の展開を考えると意味深。
ファラのお節介は後の会話にも出てきて、リッドの下着の洗濯やら、かつてキールの食べ物の好き嫌いをなくそうと奮闘してキールを泣かせていた話とか、いろいろ。
大学のあちこちで人々に迷惑をかけつつ情報収集をしたが、結局、キールはここにいないということがわかった。キールは天才で、既に大学を卒業し、いっぱしの学者となっているのだが、学会でその主張を異端とされ、今は岩山の観測所に隠棲しているのだという。えっと、キールの設定年齢は17歳なんですけど……。
ところでインフェリア唯一の大学であるミンツ大学で人々が学んでいるのは晶霊術。テイルズオブエターニア(TOE)の世界には晶霊と呼ばれる存在が宿り、自然環境に力を及ぼしている。晶霊術は、人の意思により晶霊の力に偏りを生じさせ、特異な事象を起こす技術。結果的には魔法のようなものと考えてよい。
インフェリアには学術書以外の本が見当たらないので、大学で文学を教えないのは理解できるが、金属があり、かなり高度な土木技術があるのに、工学を教えていないのは不思議。儒学者らが雑多な技術を何でも扱っていた江戸時代の日本(素人のイメージ/ホントのところはよく知りません)のような感じか。
ここはヘンな場所で、岩の裂け目から際限なくアンデッドが湧いて出てくる。よくもまあこんな山の上に観測所を建てたものだ。
キール発見。昔はどんなだったか知らないが、今はかなりの偏屈。いかにも激動の人生を送ってきました、という感じ? 独り言が多いです。
観測所には天体望遠鏡がある。といっても、インフェリアでは空のどこを見渡しても雲の向こうにセレスティアが見えるわけで、星を観察する道具ではありません。
キールの話を総合すると、インフェリアとセレスティアの間には「オルバース界面」があり、オルバース界面に存在するセイファートリングが両世界をつなぐゲートとみなされているようだ。セイファートとは創世神のこと。インフェリアの人々の信仰の対象だ。
ファラ「ねえねえ、セレスティア人って引き潮の晩に角が生えるんでしょ? そのせいで凶暴になっちゃうのかなあ。こんなかわいいのにね」
キール「そんなの、何の根拠もない迷信だ。だいたい、額に妙な石がついているとはいえ、こいつの生態は、僕たちに酷似しすぎている。とてもセレスティア人とは信じられないな」
メルディ「You seem to have a great amount.」
キール「ききき急に近づくな!」
リッド「いちばんビビってんのはお前じゃないのか」
キールは言い伝えを妄信することを批判すると同時に、メルディがセレスティア人かどうかについても即断を避けている。そういう慎重な姿勢が端的に現れているのがこの会話なんだけど、ウェブで感想を見ていくと、キールを矛盾した性格と解釈している人がかなりいる。みんな国語があまり得意じゃないのね……。
ファラ「大雨とか大地震とかの天変地異は全てセレスティア人のせいって本当?」
キール「明確な証拠はない。だが、セレスティア人が僕たちの世界に何らかの方法で悪影響を与えていると仮定すれば、多くの点で説明がつくんだ」
ファラ「わかんないな。実際にメルディ見てると、わかんなくなってくるんだよ。どうしても悪い種族には見えないの」
キール「本当に狡猾な種族は簡単には尻尾を見せないだろう。くれぐれも注意しろよ」
万能の仮定を置けば、何だって説明はついてしまう。だから安直に与することはしないが、逆にセレスティア人のせいではないと決め付けることもしない。至極カンタンな話だと思うのだが……。
プレーヤーがメルディを信じるのは、オープニングを見ているからで、能天気でないインフェリア人が、突然現れたセレスティア人を信用できるかというと、なかなか難しいのが当たり前。というか、信じて痛い目にあうという物語のRPGもたくさんあるわけじゃないですか。信じるというのは覚悟のいること。
たしかにメルディはかわいいし、ふつうの人はどっちつかずになると思う。拒絶はしないが、心理的に距離を置こうとする。キールに不快感を示す人が、ふだんどんな生き方をしているのか、私は知りたいよ。偉そうなことをいえるほど、人を信じる決断をしているのかどうか。
ファラ「大学の入学試験ってすっごく難しいんでしょ。頑張ったね、キール」
キール「まだ過去形じゃない。大学なんて、僕にとっては最終目標までの足がかりに過ぎないんだからな」
リッド「最終目標? 何だよ、それ」
キール「インフェリアの最高学府である、王立天文台で働くことさ。決して叶わぬ夢ではないが、途方もない努力と実績が必要なんだ」
リッド「働くことが目標なんて、お前、変わってんなあ」
将来の夢、が職業と直結している現代日本は変わり者の国、か。
1日目Bへ続く。