ティンシア

バンエルティア号で黒体に向かい、地上(シルエシカは黒体の直下にあるバリル城の中庭に晶霊砲を建設していた)とバンエルティア号から同時に晶霊砲を打ち込む。しかし黒体のバリアはびくともせず、「オルバース爆動」によりリッドたちはセレスティアに落下する。

DISK3 へ。

レグルスの丘から湧いて出てきたモンスターたちに襲われたラシュアン。リッドの父は村を守る戦いに出て、炎と煙の中に消える。破壊された村をさまようリッド。星のかけらがほしくてリッドとキールをそそのかしたファラが泣いている。この惨劇でリッドとファラは天涯孤独となった。

……リッドはティンシアのシルエシカアジトで目覚める。キールと相談すると、大晶霊が入った2つのクレーメル・ケイジを「フリンジ」することで強力な晶術が使えるようになることから、このフリンジの仕組みを応用すれば強力な晶霊砲が作れるのでは? という意見をもらえる。

よし、バリル城に向かい、晶霊砲の改造をしよう、となるのだが、そこへバリル城がインフェリア軍に占拠されたとの知らせ。レイスの言葉を伝えれば理解してもらえるだろうと考えてリッドたちはバリル城へ。

ファラ「ときどき、レイスが、すぐ近くにいるように感じる。そういうことってあんのかな」
リッド「どうだろうな」
ファラ「気のせいだよね、やっぱり。私、弱ってんだな」
リッド「否定する根拠もねんだろ。だったら、レイスが見てても恥ずかしくねえようにしてようぜ、念のためにな」
ファラ「うん」

バリル城

インフェリア兵はモンスターに襲われていた。指揮官ロエンもヒアデスに追い詰められる。助けに入るリッドたち。ヒアデスはもはや人の姿も心も失っていた。

ヒアデスを撃破し、工事は再開されるが、フリンジ砲(改造晶霊砲の新名称)の完成にはリバヴィウス鉱なるものが必要らしい。ファラの記憶では、それはレグルスの丘にあった、という。

メルディ「人間は変わるか?」
ファラ「メルディ、どうしたの?」
メルディ「少し考えたよ。ずっと変わらない気持ち、それと変わる気持ち、あるよ。気持ち変わると、人間変わるか?」
ファラ「難しいなあ。変わりたいのに変わらないとか、変わりたくないのに変わっちゃうとかが多いのかもね」
メルディ「変わりたくないのに、変わっちゃう、か」

当然これはシゼルを念頭において一般論を語っているスキット。優しい母が、心の暗黒面を強調するネレイドによって別人のようになってしまったことを、メルディがどうにか租借しようとあがいている様子。物語進行上の主役をリッドとしているのは、図式化して割り切るには第三者の視点が必要だったから。

悲劇の当事者となったシゼルは、たしかに世界を呪った。バテンカイトスへの回帰を願った。ネレイドは手を貸しているに過ぎない。しかしそのために我が子の可能性を閉じるだけの決断をシゼルはしたのか。していない。ここにネレイドの詐術がある。

それはわかっているが、自らの心象風景の中に引きこもって世界の破壊を進めるシゼルを穏便に「目覚めさせる」手立てがない以上、黒体に突入し、暴力によってシゼルの行動を止める他ない。グランドフォールは私たちにとっても死活問題であり、タイムリミットが迫っている中、手段を選ぶ余裕はないのだ。

……残酷ですよね。いつもいつも戦争ってのは、こうやって始まるんだよな、という感じもする。それでも、なかなかこの明快な論理に反論するのは難しい。リッドもファラもキールも、悩んだ。悩んだが、この意見に乗っかることにした。その後も悩み続けるが、しかし結論はぶれないタイプの悩み方だ。

だけどTOEは、きちんとメルディの抱えるズブズブの割り切れなさを描いた。偉い、と思う。今さらそんなことを考えても仕方ない。ああそうさ、仕方ない。でも考えちゃうのが人間でしょ。かつて自分を愛してくれた人を打ち倒すなんて。そういう悲しさを、ていねいに提示していくRPGって、あまりないような気がする。

でもってこれ、キャンプスキットでの紹介だから、こういうのを面倒くさいと思う人は見ないで済ませることも可能。とってもよくできていますよね。

補記

ゲームをやらない人からは、そんなことで感心するなら小説を読めば? っていわれるかも。私もふつうよりはたくさんの本を読んできたつもりなので、その意見はよくわかる。ただ、ゲームというのは制約の多い媒体で、何かを諦めないと成り立たないところがある。

RPGから戦闘をなくすのは商売上まず無理なんで、主人公たちが戦うことに疑問を持たせるような演出は、ふつうやらないわけですよ。あえてやるとしても、かなりあざとい方法になる。例えば、極端に極端をぶつけて上書きし、強引に戦う理由とする。敵を倒してから事情が判明する、とかね。

TOEでは、そういう方法をとっていない。主人公たちのやるせない決断、決断はしたが揺れる心、を率直に描いている。

あるいは、敵と味方を峻別する考え方、もまたTOEからは排除されている。RPG的優等生キャラであるファラが浮いているように描かれるRPGは貴重だと思う。

味方キャラは、信用する根拠がなくても信じる。敵キャラは問答無用で叩き切る。そういう展開が、RPGには多い。だけどTOEではリッドとキールがずっとメルディに心を許さない。セレスティアへの片道旅行をしてもなお、心の壁を持ち続けている。RPGとしては異色。だけど、これが人間として自然な反応ではないのか。

ゲーム的単純化への抗いは、上手にやらないとゲームの枠組みが持つバカバカしさを浮き彫りにしてしまう。テイルズは毎回、単純な勧善懲悪を嫌ってきたけれど、第1作では主人公に強烈な復讐の動機を与えることで、第2作では主人公をバカに設定することで、結論がぶれないようにしていた。順当な解決策だと思う。

これに対し第3作のエターニアでは、さしたる動機もなく頭も悪くない主人公に戦う決断をさせることにした。なぜわざわざ茨の道を選ぶ? しかし結果は成功だったと私は思う。RPG的人間に不満を感じていた私にとって、これほどすんなりと入り込めた作品は珍しい。

レグルスの丘

どういうわけかデュエリストやらレンジャーやら人間にしか見えない敵がうようよしている。なんでこの人ら、リッドたちの邪魔をするんだ? しかも常人離れした強さだし……。理解できない。

奥へ進むと光の大晶霊レムと戦うことになる。戦う理由はあまり明確でない。その先へ進むならネレイドとの戦いを避けられない。それだけの実力があるのかどうかを判定する、といった意味だと解釈した。

最奥の部屋にある砕けた封印の石、それこそがリバヴィウス鉱(の結晶?)であった。純度が低くてよければ、レグルスの丘の洞窟全体がリバヴィウス鉱でできている、とウンディーネが途中で説明してくれる。

キール「信じられない! 光の大晶霊と契約できるなんて」

長い旅をしてきた甲斐があったね、キール。

ファラ「なんだか問題が山積み。ホントに私たちで大丈夫かな」
チャット「リッドさんは頑張ってますよ」
ファラ「そうなんだよね。なーんかリッド、頑張っちゃってるの。あんなに無理のない暮らしが好きだったはずなのに」
チャット「応援したい人がいるそうです。その人に頑張ってもらいたいから、まず自分が頑張るそうです」
ファラ「ふーん、そんなこと、いってたんだ」

お喋りチャット。テレビドラマとかにもこういう人がよく出てくるんだけど、親切のつもりなのか。

アイフリードの墓

装備品回収。レグルスの丘であんなに苦労するなら、先に行くんだった。

ファラ「恋物語して! 姫が振られた後、3人はどうなったの?」
メルディ「んーとな、えーとー、ちびすけがいったよ。頑張って、ぼくがついてる。そういったな」
リッド「けど、姫は振り向かなかった。違うか?」
メルディ「その通りだよ! よくわかったなー」
ファラ「なんで!? なーんでー!? なんで振られちゃうわけ?」
リッド「姫の心は、まだのっぽにあんだろ? そこに自分の気持ちばっかり押し付けてもしゃーねーの。焦り過ぎだぜ……」
ファラ「なんか今日のリッド、鋭いね」

闇の洞窟

闇の大晶霊シャドウにケイジに入ってもらう。これまたアッサリ。順番を間違えた、と思う。

キール「感激だ……セレスティアの根元晶霊を束ねるシャドウを仲間にできるなんて……」
リッド「キール、オレも感動したぜ」
キール「リッド!!」
リッド「暗闇って慣れるとけっこう見渡せるもんだな」
キール「……」

シゼル城

フリンジ砲を撃つと黒体のバリアが吹き飛び、シゼルの幻想の世界、シゼル城が姿を現す。物質世界と精神世界の境界線上にある場所らしいが、システム的には他の場所と変わりなくプレイ可能。

とにかく不思議な場所で、アイフリードの遺産「やみのたま」があったり、時の大晶霊ゼクンドゥスが現れたり、シゼルと関係ないはずの諸々が混在している。カオスな場所。

晶霊柱の間から先はパズルゾーン。6種類のパズルを解き、6種類のエレメンタラーというボスを倒すことで、シゼルへの道が開かれる。

いちばん嫌だったのが炎のパズル。タイミングよく正確な操作をすることが求められるのだけれど、ここでもまた20分くらい延々とリトライを繰り返すことに。あと少しだと思ったので頑張ったけど、これが序盤だったらゲームを投げてた。ふつうの人には簡単なんだろうけど……。

イージーモードを選択したらこういうのを飛ばせる、とか、無理なのかなあ、そういうの。リズムとかタイミングとか、そういうのがぜんぜんダメだからゲームといえばRPGしか「できない」というユーザー層、そんなの需要が小さすぎて、配慮に値しないという感じなのかも。

まあ、たった20分でクリアできた、といえばそうなんで、アクションゲーム好きなひとが何時間も同じ場所に挑戦し続けることを思えばそんなの甘えだろう、って感じなのかもね。

エレメンタラー戦はオート戦闘で勝てず、ここでもリッドの攻撃で晶術を封じる単調力押し戦法で撃破。威力が小さいが硬直時間の短い攻撃を繰り返すだけなので、基本、味方の晶霊術頼り。

シゼル戦も同じ。時間はかかったが、どうにかこうにか勝利。

終幕

観測所でガレノスが看破した通り、グランドフォールはもう止められる状態ではなかった。そこでリッドたちは、光と闇の極光術をフリンジし、セイファートリングを破壊してインフェリアとセレスティアの接続を遮断しようとする。

メルディ「ありがとな、キール」
キール「ば、バカ! 礼を言うのは、こっちの方だ」
メルディ「あれ? そだっけ? ……でも、今は、メルディは、しあわせだから。ありがと、言うよ。クィッキーを……頼むな」
クィッキー「クィッキキキ……」
キール「そんなこと言うな! ずっと一緒に生きるんだ。……何があっても!」
メルディ「ありがと……」

リッド「ファラ、オレの体を支えててくれ」
ファラ「う、うん」
リッド振り向く
ファラ「どしたの?」
リッド「ラシュアン戻ったら……腹いっぱい食いてえな。ファラのオムレツ」
ファラ「まかせといて!」
リッド「よーし、いくぞ、ファラ! 俺たちは帰るんだ! いっしょに!!」
ファラ「うん! イケる、イケる!」

地上では嵐が吹き荒れ、霊峰ファロースは既に崩れ去り、もうとんでもないことになっている。リッドから光、メルディから闇が噴出する。力の奔流に負けグラつくメルディ。と、シゼルが起き上がり、メルディとキールを押しのけ、力を解放する。

セイファートリングのコアは砕け、リッドとファラはラシュアンの森の小山の上に落下する。

暗転、キャスト紹介。

ミンツで買い物をするファラ。港にはリッドとチャットが待っていた。離岸した船は加速し、海面を飛び出して……空へ! 一直線に宇宙へ! 宇宙船バンエルティア号の進む先には、美しい星セレスティア。

暗転、スタッフロール。

Fin

1周目クリアタイム25:00、リッドLv61、ファラLv60、キールLv60、メルディLv60、チャットLv61でした。

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