おはなし

クロエ編

オルコットが薬の材料を取りに行ったまま帰らない、とのエルザの話を聞き、隠し砦へ。オルコットは最深部の金庫(?)の暗号をアッサリ解いて開けて見せた。そして腕の刺青、見覚えのある剣技。オルコットの正体はトリプルカイツの仮面の男スティングル、そしてクロエの親の仇。

本当は忘れたい敵討ち、実際、長らく忘れたようにして生きてきたのに。クロエから黒い霧が染み出す。エルザの薬の材料を集めるため、オルコットは帰らずの森へ、クロエらは地のモニュメントへ。霧のモンスターを倒し無事に「クモのマユ」を手に入れたクロエたちだが、オルコットは帰還していなかった。

オルコットの残した手紙を読み、握りつぶしたクロエ。雨の中、一人、夜の街へ出て行く。後を追うセネル。墓地でクロエを倒したセネルだったが、クロエはセネルを刺して退路を断ち、帰らずの森へ歩み去る。「仲間だろう? 一緒にいてくれ」というセネルの言葉は、クロエの恋の終りを意味していた。

シャーリィに介抱され、セネルは回復する。エルザを伴い、クロエを追って帰らずの森へ。黒い霧を全身から噴き出したクロエが、オルコットを倒し、止めを刺そうとしたとき、セネルたちが駆けつける。仲間の説得で黒い霧が分離してダーククロエに。これを撃破し、クロエはオルコットを許す。

かつて孤独の中で憎しみに囚われたクロエ。だが今のクロエには仲間たちがいる……。

街へ帰還。グリューネは精霊ヴォルトと出会う。

モーゼス編

大陸の魔獣使い集落出身のモーゼスは、幼い頃から魔獣ガルフと苦楽をともにし、ギートと名づけてかわいがり、信頼関係を築いてきた。だが最近、ギートはモーゼスと距離を置き、単体で行動する時間が長くなっている。

モーゼスとギートのような魔獣使いと魔獣の関係は、通常、いずれ魔獣の野生化によって終りを告げる。モーゼスの部下たちは、ギートの様子に不安を抱いていた。そんな折、山賊たちがギートに襲われた。

そんなはずはない、とモーゼスは霧の山脈へ。強く好戦的な魔獣を発見・討伐したモーゼスは喜ぶが、ギートはモーゼスの言葉を無視して魔獣の死骸を切り刻む。

街へ戻った翌朝、今度は街の人がガルフに襲われたとして保安官ウィルのもとへ押しかけた。ギートの姿は見えない。ジェイとチャバの情報によれば、街を襲った魔物たちは内海を渡った先の「列岩地帯」にいるという。急行したモーゼスたちの前に現れたのは、ギートに似た魔物、フェンリルだった。

が、フェンリルを倒すと、ギートが姿を現した。ギートはモーゼスを倒し、部下のガルフたちとともに走り去った。ウィルの家へ戻ると、街はギートたちによって再び襲われていた。回復したモーゼスは、ギートを討つ決心をする。そして山賊のアジトへ。

野生の血とモーゼスへの愛情の板ばさみになったギートから黒い霧が噴き出す。モーゼスらは、きょうけんギート+ダークモーゼスを撃破。だが霧は去ってもギートの野生化は止まらない。ジェイの提案でギートは地下空間に放つことになる。

一方、グリューネは山賊のアジトで精霊ノーマと出会い、地下空間に精霊ヴォルトの種を植える。

ジェイ編

輝きの泉へピクニックに出かけたセネルたち。グリューネは精霊ノームの種を植える。みながワイワイやっている中、ジェイは一人、楽しいことなどひとつもなかった過去を思い出していた。ちょうど星祭の季節。葉っぱに願いを書いて川に流す祭りだという。みな思い思いの願いを書く。ジェイは願い事を隠した。

街へ戻ると、レクサリアの聖皇から招集がかかる。メルネスの力を狙い、遺跡船に忍者が侵入したのだという。情報に従い、忍者が潜むという秘密の地下道(=モフモフ族の村跡地)へ。そこにはジェイの育ての親で忍者のソロンが待っていた。シャーリィたちを誘い出し、シャーリィ以外を殺して連れ去る計画だったのだ。

が、ソロンの用意した魔物はあっさり返り討ちにあう。ジェイは逃げたソロンの後を追ったが、モフモフ族が人質に取られていることを知り、攻撃を封じられる。

夜、親に捨てられソロンに拾われた後、心でも誰も悲しむことのない存在であることを叩き込まれ、道具として育てられたことを思い出すジェイ。その身体から黒い霧が噴き出す。

翌朝、ジェイの情報に基づき雪花の遺跡へ。最深部でセネルたちは罠に捕らえられ、シャーリィはソロンとジェイに連れ去られる。ソロンの残した魔物を倒し、罠を脱出したセネルたちがモフモフ族の村へ行くと、モフモフ族の姿がない。ジェイの家に残された手紙からジェイが裏切った理由を知る。

モフモフ族は、ジェイを救うためソロンが基地とする蜃気楼の宮殿へ。モフモフ族は非常に強く、ソロンを除く忍者たちを制圧。ソロンが応戦する隙にジェイとシャーリィはモフモフ族の村へ戻り、セネルたちと合流して蜃気楼の宮殿へ引き返す。

黒い霧を噴き出しつつ対峙するソロンとジェイ。ジェイはついに霧を振り払い、ソロン+ダークジェイを打倒する。家族がほしいと望んだジェイ。しかし彼には既に……。

かんそう

クロエ編の割り切れなさ

悲恋がどうこうというのではなくて。そもそも恋愛感情と独占欲が癒着していなければ、セネルを刺す必要などなかったわけで。というのはつまり、セネルが自分を仲間として大切にしてくれる「だけ」だから、クロエは自分の孤独は満たされないと考え、敵討ちに突き進んだのだ。

脚本家はキャラクタークエストのエンディングまでクロエを離脱させない理由を考えるのに苦労したそうだ。プレーヤーの持ってる価値観に寄り添う限り、そりゃそうだね。共感ベースで物語を作っていかねばならないという制約があると、ゲーム的都合と矛盾することがしばしば起きるわけで、脚本家は大変ですよね。

前も書いたけど、せっかく異世界を舞台に、様々な人種を登場させているのに、プレーヤーが最初から持っている価値観で共感しうる話しか提示できないってのは、けっこう悲しい状況なんじゃないか。

とはいえAmazonのレビューでもニコニコ動画のコメントでも、共感できないことをいうキャラが味方側に登場すると、もうそれだけで作品全体を嫌う人がたくさんいる。とくにAmazonの方は深刻。嫌いだから買うな、といっているわけで。これでは商売にならない。もう、こういう作品づくりをしていくしかないのだろう。

一昔前までなら、時代劇では現代では通用しない価値観を主人公らに語らせていたんだけど、最近はみな、主人公らの頭の中は現代人になってる。大河ドラマでさえ……。今後ますます、主人公側は人間描写が一面的・薄っぺらになっていき、魅力的な人物は敵側にばかり増えていくのか。いや、敵も類型化が進むのか。

表現者には、商売の範囲内でいいから、世界の多様性に取り組み続けてほしい。そう願う。

モーゼス編のどんでん返し

ギートの野生化は止められない、いずれ人を襲うようになるんだ、となったとき、モーゼスはギートと戦おうとする。セネルやクロエらは悲痛な叫びを上げるのだが、ノーマとジェイが「あのー」と声をかける。無人の地下空間「静の大地」があるじゃないですか、と。

みんなキョトンとして、とたんにシリアスからコメディへシフトするんだけど、案外これって、スタッフのブレインストーミングを再現した場面なのかもなあ、と思った。スタッフのインタビューなどを読むと、少なくともキャラクタークエストはオチを決めずに製作が始まり、脚本家は最後までそこに悩んでいた風なので。

ただ、オルコットを許すかどうかについては、ジェイの存在があるので最初から決まっていたと思う。

モンスターとの遭遇について

TOLではイベントシーンなどで1〜2人でダンジョンの先の様子を偵察に行く場面がある。グリューネ編になるとノーマもザマランも平気な顔でエバーライトのある水晶の森の最深部に到達している。何でだ。あるいは、前にも書いたけど、山賊や軍が拠点として使っている場所に、モンスターがバリバリ登場する。おかしい。

さらには、ハリエットがなぜか内陸の僻地に現れセネルを助けたり、相当に強いモンスターが街の周囲に出るようになってからも平気で眺めのいい場所へ通ったり。一番のびっくりは病気のエルザが一人で隠し砦の中間地点まで辿り着いたこと。

この演出的矛盾を解決するには、どう考えたらいいか。

何でも良けりゃ、まあいろいろ思いつくんだけど、ひとつ有力かなと思える仮説は、セネルたちがモンスターに出会うのは、あれはわざと呼び出しているんじゃないかな。あるいは、きちんと警戒していれば、モンスター遭遇を避けて進むことができる、とか。

いや、だって、ほとんどのモンスターは馬鹿でかいしね。しかも戦闘画面をよく見ると、ちょっと開けた場所ばっかりなんだよね。だから、ごちゃごちゃした所を進めば選べばいいんじゃないか。

ちなみにミミー・ブレッドは闘技場の最強敵として登場する武芸の達人。HPが6万超、圧倒的な攻撃力を持つ。遠距離攻撃はできないが、接近戦なら敵なし。地下空間(=「静の大地」)のモニュメントにも平気で単身乗り込む怖いもの知らずだが、それが決して無謀な行動でなかったことがわかる。

遺跡船という舞台設定

セネル、シャーリィ、ウィル、クロエ、ノーマ、モーゼス、ジェイ、グリューネ、みな遺跡船の外からやってきた人たちなんだよね。それぞれに人生の波乱万丈があって、逃げてきたというか、そんな感じで遺跡船に落ち着いている。DQ7の移民の街、みたいな。だからキャラクタークエストが面白い。

結局、回想とモニュメントの映像以外で大陸の様子は全く出てこないのだけれど、ちゃんと外の世界があって、物語が成り立っている。広大な世界の広がりを感じられるんだよね。それでいて、舞台がまとまっているから、わかりやすい。うまいこと考えたなあ、と思う。

……ん、でも、よく考えてみると、これってローグ型(=不思議のダンジョン型)のRPGの変形か。毎日同じ洞窟へ入っていくだけなのに、ちゃんと物語は進んでいく、という。まあ本当に洞窟に潜っていくだけでストーリーのない作品もあるわけだけど。

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