本当のことを教えよう。妖精は死なない。でも「妖精の死」は、ある。少女が妖精を捨てたとき、少女のなかで妖精は失われる。けれど、妖精の国は永遠だ――おとなたちが、思いもかけず妖精と邂逅(かいこう)したとき、驚くというより、むしろなつかしさがこみあげてくるのも、そのためだ。
少女よ、妖精を失ったことを悲しまないで。約束するよ。ぼくたちは、きっとまた会える。
「ぼんぼりのかげに 少女たちのうぶ毛が光り 深くうるおってきた瞳が光り 少女たちは眠って めざめて ――旅がひとつ終わる」(吉原幸子「桃」より)
「さんざしの木の陰から その瞳を見つめて、笑う
」
「妖精の死」は、子ども(エルフ)であった何も知らなかった自分が、 女である自分の現実にとつぜん直面する「死」の物語なのかもしれない。 けれど、それは本当の死では、ない、と、わたしは思う。 そのときから、妖精にふたたび出会うための、本当の旅が始まるのだ。と。 それは死ではなく、始まりなのだ。と。
ふるい雛たちに なつかしく
謎めいた微笑みを投げ
さよならを言う と
とびたつとき
うすべにいろの花びらが匂う
少女たちは眠って めざめて
――旅がひとつはじまる
吉原幸子「桃」
無垢の光のなかで無垢であることは、たしかに純真だろう。けれど、泥のなかの蓮のように立つことは、いっそう清らかだ――現実にいながら夢みる者が、夢のなかで夢みる者より、いっそうイマジネイティブであるように。なんであれ妖精の国へささげる「祭祀(さいし)」――自分の行動――の残り物(結果)を平等なこころで、いただくこと、甘くても苦くても、祭祀の残り物を食べて、それで満足して、楽しく生きるということ、「うた」――自分の創造――を通じて、遠い世界に触れるということ、星と地上をむすびつけるということ。
http://www.jvcmusic.co.jp/ram/vicl-60043-9.ram
「妖精の死」 Song by 新居昭乃(あらい・あきの)
PS:川原泉“みんなきよらか”どだきみも妖精にならないかい?
だから咲くのさ、矢車草が!
Taleban begin statue purge (BBC):There has been an international outcry at the order.
...子どもたちが、ヘラートのキャンプだけで一晩で110人、凍死したとき(1月29日~30日にかけての夜)、an international outcry などあったろうか。It is a great loss.
飢えと寒さで、三日のうちに500人が死んだとき、あなたは It is a great loss.
と言いましたか、イタリア大使さん。"Once you destroy something, you can never get it back," said All Japan Buddhist Association secretary general Kijo Nishimura.(いちど壊してしまえば、もう二度と元通りにできないのです)
――ブッダの弟子を自称する西村さん、あなたにも同じことを尋ねます。あなたは、毎日、子どもたちが死んでゆくのに対して、少しでも、それに似た発言をしましたか。いちど死んだ子は、もう戻らないのだ、と。あとから毛布を送って何になるのだ、と。
すでに、ごり押し追加制裁発効の時点で、"And ironically I think it will have absolutely the opposite effect to that which the United States says is intended, and it will drive people towards more extremist measures because they see absolutely no other way out of the situation they're in." (「アメリカ合衆国が制裁の意図と称している事柄についても、まったくの逆効果でしかありません。人々は、いっそう極端な手段に訴えざるを得なくなる。尋常の手段、常識が通用しないと思い知れば、もはや非常手段に訴えるしかないでしょう。」)
と報じられていたでしょう。このようなラディカルな非常手段は、悲しい。けれど、こういう「非常手段」をとらざるを得ないところまで心理的、経済的、政治的に追いつめた張本人たちが、それを批判できるのか。
ここを読んでる人で、Kijo Nishimura さんのメールアドレスを知っている人、教えてください。日本仏教界の偉い人らしいが、こんなまぬけさを放っておいては、「仏教」にとっても好ましくない。
Date: Fri, 02 Mar 2001 05:57:17 +0900
From: mion <webmaster@faireal.104.net>
X-Mailer: EdMax Ver2.32.8F
MIME-Version: 1.0
To: buddha@bekkoame.ne.jp
Subject: アフガニスタンでの仏像の破壊をめぐる質問
Message-Id: <20010302055717V07!7a@faireal.104.net>
Content-Type: text/plain; charset=ISO-2022-JP
Content-Transfer-Encoding: 7bit
-----BEGIN PGP SIGNED MESSAGE-----
仏教データバンク「さんが」様
みなさまの運営しておられるウェブサイト
http://www.bekkoame.ne.jp/~buddha/
を見て、メールをさしあげます。
自分は、「妖精現実フェアリアル」
http://mion.wisnet.ne.jp/ の mion と仮称する者です。
さきほど、BBCのサイトにて、
「Taleban begin statue purge」
http://news.bbc.co.uk/hi/english/world/south_asia/newsid_1196000/1196363.stm
という記事を読みました。そのなかに、
「All Japan Buddhist Association secretary general Kijo Nishimura」
というかたのご発言がありました。
この発言について、「All Japan Buddhist Association」ないし
「Kijo Nishimura」様に問いあわせようと思ったのですが、
どうしても問い合わせ先が判明しないため、
「仏教データバンク」を運営しておられる皆様に、
さしあたっては、お問い合わせいたします。
さて、上記の記事によれば、
Buddhist associations in Japan and Sri Lanka also joined
the chorus of protest.
(日本とスリランカの仏教協会も抗議している)
"Once you destroy something, you can never get it back,"
said All Japan Buddhist Association secretary general
Kijo Nishimura.
(「いちど破壊したものは、もう二度と戻せないのだ」と
全日本仏教徒協会のニシムラ・キジョ理事は話す)
"We have an important responsibility to leave these statues
to our descendants," he said.
(「これらの仏像を子孫に残してゆくという重大な責任が
我々にはある」と彼は付け加えた)
――と、あります。この発言の趣旨は明瞭であり、
それ自体としては、支持できるものです。
しかしながら、この発言者を初めとする仏教徒の皆様に
お尋ねします:
みなさまがたは、その同じ地域
(アフガニスタン国内およびアフガン難民キャンプのある
パキスタン)で、国際的援助が行き届かずに、毎日、
子どもたちが死んでゆくのに対して、
少しでも、似た発言をなさいましたか。
子どもたちが、ヘラートのキャンプだけで一晩で110人、凍死したとき
(1月29日~30日にかけての夜)「いちど死んだ子は、もう戻らない」と、
そういうことを、ひとことでもおっしゃいましたか。
いま、今夜も、子どもたちが飢えと寒さで死んでいるのです。
それについては何も言わないでおきながら、
仏像の破壊についてとなると、これだけ大騒ぎなさる。
これは、いったい、御仏のこころに、かなうことでしょうか。
仏像は尊いでしょう、しかし――。
仏陀に私淑される皆様がた、ひとりひとりに、
この件に関するご意見をうかがいたく存じます。
また、上の記事に出ております西村さんというかたには、
とくに直接、ひとこと申し上げたく存じますので、
ご連絡先などご存知でしたら、ご教示いただければ
誠に幸甚に存じます。
mion
妖精現実 フェアリアル --> http://mion.wisnet.ne.jp/
* The PGP public key is at:
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=0Kgy
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2001-03-03 追記:平山郁夫さんが言うのは、まだ分かる。「冷房のきいた快適なアトリエじゃないと絵が描けないなんて言っていては、シルクロードの絵は描けない」――むかしそう言い放たれたのは、本当に40℃の熱砂のなかで、のぶとい創造活動をしたかたのことばだから重みがあると、思った。あれだけシルクロードの美術にいれこんできたかたであればこそ、「やめてください」というのは切実な叫びだろうと思う。……しかし、仏像を壊すとはけしからん(「仏像だから」壊しては、いけない)と言い張る一部の自称「仏教徒」たちには、ブッダ自身のことば(を伝えるとされるいくつかの詩集)を読み返してほしい。「いや我々は大乗で非仏説だから」とかの教義論に逃げるなら、「不生不滅、不垢不浄、不増不減」と。「仏像は壊されたかもしれない。しかし何も壊れていない」と悟り澄まして静かにほほえむなら、さすがブッダの弟子と尊敬もしようが。
「厳格なイスラム教の戒律にもとづく行動」なんて説明してるのは、無知で本当にそう思っているマスコミか、あるいは真相にふれる細かい経緯を知られるとまずいと思っている人々でしょう。ここ数か月に何があったか考えれば、もう少し本質に近いものが見えるかもしれません。説明できないこと、説明したくないことは、ぜんぶ「イスラム原理主義が悪い」のひとことで片づけられるなんて、大衆が無批判かつ愚鈍でホント助かるね。冷酷な無視とひどい仕打ちをされつづけて、教師も見て見ぬふり、ついにキレて窓ガラスを割ったりする生徒も「あいつは暴力的だ」で終わりなんだろうね。いじめる側は笑いが止まらないよな。まったく。
2001-03-02 ペタバイト時代がやって来る:わくわくします。ついでに、ペタ(P)の先も予習しておきますか……G(ギガ)→T(テラ)→P(ペタ)→E(エクサ)→Z(ゼタ)→Y(ヨタ)。余談:自閉症児は「単位」がだい好き。
2001-03-02 シリコンバレーの一風変わった「離婚」事情(下):“結婚”という制度そのものが古いとしても、とりあえずその本質は精神的なものに移り変わっているでしょう。にもかかわらず、結婚における性差別がまだ残っているのは、おかしなことです。「だが、仮にキャシーさんとジェニファーさんの結婚が可能であったら、今回の件に関わるすべての人々の状況は変わっていただろう。その場合、争いは非公開の家庭裁判所に持ち込まれ、資産の分配は、無責離婚と夫婦共有財産制を定めた州の法律に基づき、定式に従って行なわれることになる。そして、ハインストックさんの暮らし方も、女性同士の結婚を合法と認める裁判官によって、また違った扱いを受けるかもしれない。
」
2001-03-02 ウガンダで投票の不正防止に人相認識システム導入:ウガンダ軍の「アフリカ大戦」からの撤退は、大統領選挙をにらんだポーズ(「わたしは平和主義者で、紛争の解決を望んでる」という)という見方もありますが(→メモ)、それはそうと、その大統領選がらみで、おもしろいニュースが出ました。写真をとられるということは、投票しにくいのか、選挙の不正を防げるのか……。
大屋「きょうこそ家賃、払ってもらいますからね。ミルクさんがのろのろしてるせいで、子どもが毎晩、何人も餓死・凍死してるんだからァ! 黙ってみてるなんて、ぜったい許しませんよ」
ミルク「そんなことより、大屋さ~ん、なんか黄金の猪木像にゴムボートで体当たりするって、息巻いてるみたいだよ。猪木像が壊されてもいいのォ?」
大屋「きゃあ、たいへん! またタリバンのしわざよ~。急いでアナンをけ飛ばして非難声明を出させなくっちゃ」(ぱたぱた)
ミルク「ふぅ~。大屋がペドよりペテロを選ぶ仏像フェチで、助かった」
2001-03-01 あー、大島さん、くちだけで終わりそう(IRNAより):The U.N. Under Secretary General for Humanitarian Affairs Kenzo Oshima has said that the humanitarian situation in Afghanistan was worsening quickly. なんだけど、However, he said the new U.N. sanctions had not further worsened the situation ... だって。「国連の追加制裁のあと、いっそう急速に状況が悪化している。しかし国連の追加制裁は、状況の悪化とは無関係です」それギャグ? アメリカを説得に行ったと思ったら、アメリカのファクトシートに「大島の報告によれば制裁に悪影響なし」って書かれてるのか。一方、フィンランドの Helsingin Sanomat がWho will help Afghanistan? という署名入りコラムを出してます。タリバンを一方的に悪く言うのはともかく、「countries will usually not interfere in the affairs of other countries for unselfish reasons. Instead, the one taking the action usually has an ulterior motive」とか「In the coming years or decades there is no hope that an extensive reform in the UN would be successful, and perhaps it never will. 」とか、皮肉まじりの冷徹さ。フィンランドも、ソ連とドイツのあいだに挟まれて苦労した歴史がありますし――。
2001-02-28 23:50 「偽春菜」から名まえを変えたソフトの再公開(開発継続)のめどが立ったようです。
作者さん、うまくやったようですね。
2001-02-28 青少年健全育成条例改正へ 「ハッカー本」も視野に、都:「「犯罪を誘発する恐れ」の解釈をめぐっては、都側は「新聞記事など報道は念頭にない」としているが、条文上、除外規定としては明記されていない。
」なんか、東京都の青少年健全育成条例みてると東京都知事を侮辱したくなるんだけど。犯罪(侮辱罪)を誘発する恐れがあるんじゃない、この条例の存在自体? ……冗談はさておき、「不正アクセス」を防ぐにはセキュリティホールをふさぐのが筋でしょう。「ドアのノブをまわしてドアがあく家は、鍵がかかっていません」って指摘するのが間違いなのか、重要な書類のある部屋のドアに鍵をかけないのが間違いなのか。
2001-02-28 Modena りん、高校合格・発表v(^^)v でも不本意な結果だった人も、がっかりすることは、ない。高校なんて本当は、どこだっていいんだから。考える知性さえあればね。
2001-02-28 “バグで悩まない確実な方法”教えます:「「分析/設計だけしました。プログラムはありません」という話が通るはずはない。「実装だけしました。プログラムはこれです」。この方がテストできるだけマシだ。……「問題の本質はプログラムの品質だ!」。SEの方々はそうおっしゃるかもしれない。だったら自分で書けばいい。「コーディングは単純労働だ」と言う人は,ぜひコード・ジェネレータを書いて,人間を単純労働から解放してほしい。
」
テツコ:「ちょっと、ミルク、やーねー、また空爆したんだってよ、あのテロ国家」
ミルク:「へー、こんどは、だれと不倫発覚したんだろ?」(★)
ロミオ「それなら尋ねましょう。どちらが、より人間らしい行いか。素手で斧をふるうことか。それとも空からウランをまくことか」
ジュリエット「名前ってなに? 破壊と呼ぶ行為を正義と呼んでみたところで、不吉な香りは失せはしない。おおアンクル・サム、あなたは、なぜに『正義』なの?」
王の亡霊の声「呪われてあれ、安全な遠洋から巡航ミサイルを放つ者よ~。高みの空から爆弾をまきちらす者よ~。呪われてあれ」
オフィーリア「おお。おお。おおおお。わたしは見た。優しいアラベスク文様の白壁の前に倒れている妹を。しぶきのように赤い花を吐き続け、青黒く、動かなくなってしまったみどり子を。これを正義と呼ぶならば、ちょうつがいを九官鳥とも呼びましょう」
ソクラテス「だが最近、ゼウスさまの魔法の盾も、ふしあなだらけと見える。わはははは」
いちおうさわりだけ最新ニュースですが、アフリカ大戦がらみ、東コンゴ(ザイール)の大統領が変わって良い動きがありそうな感じもしたのだが、Burundi peace talks fail ということで、ひとつ失敗。ブルンディは、コンゴの戦争とは比較的、関係が薄く、ブルンディはブルンディで自分のところで内戦が起きているのですが、その和平プロセスがうまく行かないようです。
ところで、最近、使いまわしていたコンゴ周辺の地図ですが、ズームインしすぎで全体の位置関係が分かりにくかったと思います。作り直したら、ファイルのサイズは減って、しかも、ずっとよく分かる地図になりました。
どうです、これなら、ひとめでアフリカのこのへんか、と分かるでしょう……。コンゴ(ザイール)を戦場に周辺諸国が戦争している話は、このまえ少しだけ書きました。
コンゴの下のアンゴラ、ナミビアなどがコンゴの政府軍の側、コンゴの右にあるウガンダ、ルワンダはコンゴの反政府軍の側について戦ってます。ブルンディも反政府軍側に巻きこまれてるようです。なお、スケールが分かりにくいと思いますが、コンゴ(ザイール)がだいたい日本の6倍の面積ということから、どでかい戦争だと感じてください。
今回は国際政治とか戦争の話じゃなく、もっとイージーな観光気分で、ブルンディ(ブルンジ)を眺めてみましょう……。
ブルンディの ccTLD は .bi で、ブルンディ政府の公式ホームページは、
http://www.burundi.gov.bi/
にあります。そうとうネットやってる人でも、アフリカに特に興味あるかた以外は、.bi のアドレスなんてみたことないでしょう。たぶん。公式サイトにある観光紹介のページ、TOURISMEには、ざっと次のようなことが書いてあります。
ブルンディは、アフリカの中央部にある小さな国。ルワンダの南にあたります。ブルンディは(中央アフリカのさらに真ん中にあるので)「le coeur de l'Afrique ハート・オブ・アフリカ」とも呼ばれます。また「アフリカのスイス」とも呼ばれます。たくさんの湖があって、緑の濃い、美しい土地だからです。動植物も豊富です。多くの旅人がその魅惑的な風景にこころをうたれます。ブルンディは、また「千と一の丘を持つ高原の国」とも呼ばれます。古代人は「月が丘」とも呼びました――空の月のように、行くのが難しい、遠い内陸国だったのです。
ブルンディは、「常春(とこはる)の国」とも呼ばれます。熱帯にありますが、標高が高いため気候は穏やかで、気温は一年を通じて20℃前後です。
ブルンディの丘陵地帯。ブルンディ グルメコーヒープロジェクトより
紛争当事国とはいえ、公式の観光ガイドをみるかぎり、旅ごころを誘われないでもないでしょう(それにしても、「常春の国」というと「パタリロ」を連想してしまう……付近にダイヤモンド鉱山もあるし)。日本語で読めるコンゴ(ザイール)情報としては現在、最高のものであるJAKI's にも、こう書いてあります:
Great Lakes Regionとは、「ウガンダ」、「ルワンダ」、「ブルンジ」を中心とし、最も大きな「ヴィクトリア湖」、その西北の「アルバート湖」、「エドワード湖」、「キヴ湖」、そしてタンザニアとの国境を形成する「タンガニーカ湖」と、「ミトゥンバ山脈」沿いに大きな湖が縦に並んだアフリカの高地の総称である。
この付近は「アフリカのスイス」と呼ばれるほどに風光明媚な場所で、なかでも「キヴ湖」周辺の「ゴマ」、「ブカヴ」という町はことのほか美しい。また、その北側には有名な「ヴィルンガ国立公園」があり、その中に「ルウェンゾリ」という「キリマンジャロ」に次ぐ5109メートルの、アフリカ第二の高さの火山が聳え立っている。またこれらの湖は、遥か北方の地中海を目指して流れる「白ナイル」の源流であり、アフリカ随一の肥沃なジャングル、気の遠くなるほど広大な「コンゴ盆地」の東の果てでもある。
ブルンディの上のルワンダは、れいの「大虐殺」があったところで、ユーゴ紛争のときのこともそうですが、「人間性」の複雑さを思わずには、いられません(ブルンディでも、ルワンダよりは少ないものの、多数の犠牲者が出ました)。ただ、ルワンダの問題は、あまりに「トゥツィ vs フトゥ問題」(民族紛争=現地人が勝手に争っている)と短絡的に断定されすぎなように思います。そもそも、これらの小国は、もともとドイツ領東アフリカだったのを、ベルギーが戦争に勝ってドイツから奪った場所であって、つい最近までヨーロッパが植民地支配をしてたわけです。ついきのうまでのヨーロッパ vs アフリカの巨大な支配・被支配関係の事実を忘れて、「ルワンダとブルンディでは、少数のトゥツィ族が、フトゥ族を支配するという長年の悪政が……」などと批判するのは(少なくともヨーロッパ人にとっては)おかしなことでしょう。ヨーロッパ人こそが、そのような民族的主従制度を当然のこととして――というより押しつけて――いたのだから。
Great Lakes Region は、日本語では「大湖地方」などとも訳されるようです。
1997年にルワンダからブルンディに入ったある旅行者は、「ブルンジの第一印象は、ルワンダより貧しいという感じ。山林はそのままになっているし、衣服っもぼろぼろ」と記してます。内戦や国内政治の混迷もあって、経済的にくるしいのは、間違いないと思われます。
ブルンディの経済ですが、貴重な、おいしいコーヒーがとれるのだそうです。あるページには、こんなふうに書いてありました。
フルーツ、フラワー系を思わせる明るいトーンの味。芳醇で、気分を高揚させるような味でありながら荘重な品格があります。全体的な印象は、やさしくしかし大きさも感じられます。後味は、攻撃的なまでにドライですが、キレが素晴らしくスッキリしています。数千の丘の国からなるブルンディ共和国は、中央アフリカの高地の中心に位置し、アフリカのスイスと呼ばれています。コーヒー栽培地域は国の中央部で、標高1,600メーターの高地が中心。気分の沈んだ時など、このコーヒーを飲むと目の回りに明るい熱帯のフルーツ、フラワーの色が感じられ、ふわっとした気分の高揚感があります。素晴らしいオレンジ系の甘みがあります。あまり知られていないブルンディのコーヒーですが、1度飲むとやみつきになります。
日本の外務省サイトのブルンディ共和国のページにも「コーヒー香る高原国」というキャッチフレーズ(?)がかかげられています。外務省の外交官もブルンディのコーヒーが気に入ったのでしょうか(微笑)
単一作物の農業国というと、いかにも天候に左右されたり、経済的に弱い感じがしますが、ブルンディには地球全体の埋蔵量の5パーセントと推定される大量のウランやニッケル鉱が、未採掘のまま眠っているそうです。
わけの分からない「民族紛争」や「難民問題」や「虐殺」がある地域には、きわめてしばしば貴重な鉱物資源がある、というのは、いつもの「見えざる手の働き」で、もちろん、アフリカ世界大戦といっても、本当に熱い関心を寄せているのはアフリカの諸国ばかりでは、ないわけです。