夏休みの宿題 - 作文を書く前に

作文を書く前に

従来の作文教育には大変な欠陥がありました。それもひとつふたつじゃない。無数の欠陥があったといっていい。はっきりいって、子どもにいきなり作文を書けといって、書ける方がおかしいのです。書けなくて当然だ、という現状認識を出発点として、考えていかねばなりません。

といって、私は包括的な作文教育を解説するつもりはありません。それは私の任ではないし、まだ明確に語るだけの材料がないのも事実です。

とはいうものの。

とにかく夏休みの間に作文をいくつか仕上げなければいけない。でも子供を叱っても怒っても、作文はいっこうに完成しない。それどころか最初の1行で詰まってしまっているようだ。じゃあどうしたらいいか。

大勢の保護者の方々が、この問題で悩んでいらっしゃいます。「宿題なんて、やってもやらなくてもいいのよ。私もやらなかったし」そう開き直ってしまう方に、当サイトの解説は無用です。逆に「やっぱり作文を書かせたい」「作文を書くのは大切なことだ」とお考えの方には、いくつかのヒントを差し上げたい。

道具の準備

たいていの方は、作文というとまず原稿用紙を子どもに買いに行かせます。それは間違いではありません。鉛筆と消しゴムと原稿用紙は重要です。

重要ですがね、原稿用紙に下書きさせるのは間違いです。いきなり完成原稿を書かせようとするのも無謀です。そんなもの、できるわけがない。ウソだと思ったら、子どもにあれこれ言う前に、自分で書いてみたらいいのです。書けませんから。

当サイトをご覧になっているということは、あなたはパソコンをお持ちであろうと思います。ということであれば、子どもにもパソコンを使わせるべきです。パソコンで下書きするようにするだけで、初心者は推敲地獄から解放されます。

消しゴムは生産性を非常に落とす悪魔の道具です。いくら紙を汚してもいい下書きでは、絶対に消しゴムを使うべきでない。けれども、子どもは消しゴムが大好きです。過去を「無かったこと」にしたがります。根本的な解決策として、パソコンを使うことで下書きは飛躍的に楽になります。(詳細はとにかく「書けちゃう」方法・2

清書は手書きでなければダメでしょう、今でもおそらくは。よってパソコンで完成原稿を作り、それをていねいに筆写して提出用の作文を完成させてください。

原稿を書くソフトウェア

O's Editor2 をお勧めします。このツールが持っている「原稿用紙」スタイルは、作文の下書きに最適です。シェアウェア(2000円)なので30日以上利用するためにはライセンスを購入する必要がありますが、その価値はあると思います。

O's Editor2 には印刷用の「原稿用紙印刷」スタイルも用意されています。プリンタで印刷してみたものを登校日などに先生に見せてみるとよいでしょう。「これでいいよ」と許されたなら、手で清書する手間が省けます。ただし一般的な原稿用紙はB4(二つ折りでB5)で、ふつうのプリンタの上限サイズA4より大きい。コンビニで拡大コピーしてもよいのですが、プリンタの制限に引っかかったら、字の練習だと思って悪あがきしない方がよいかもしれません。

原稿用紙スタイルと原稿用紙印刷スタイル

ローマ字学習前の学年のお子さんには、ナラコードの50音配列キーボードをお勧めします。

お子さん専用のパソコンがあるなら、ソフトウェア+シールで対応するとよいでしょう(ノートパソコンでも不都合なし)。保護者の方と共用ならば、お子さんが使用するときだけキーボードを交換することを勧めます(デスクトップ推奨)。価格等は商品カタログを参照してください。

どちらかといえば、キーボード交換式がよいと思います。1万円ほど値段は高くなりますが、キーボードを交換するだけで50音配列入力が可能となる手軽さには、大きなメリットがあります。

より子どもにもなじみやすいキーボードとして、このような商品もあります。価格は税込み37800円と高いのですが、第一歩の敷居は低いと思います。

なおウィンドウズ標準の入力変換ソフトウェア MS-IME のソフトウェアキーボード機能では50音配列を選択できます。Windows の入っているパソコンなら追加費用なしで使える便利な機能なのですが、ソフトウェアキーボードで作文を書くのはお勧めできません。かなり面倒です。

経験の準備

もし可能であれば、保護者の方は子どもに作文を書かせる前に、自分でも作文を書いてみてください。パソコンで下書きして、原稿用紙に清書するのです。

それがどれほど地獄の苦しみか、ということを、身をもって知っているか否かということは、子どもに作文指導をするに当たって非常に重要なポイントになります。うんうん悩む子どもを愛おしく思えるか、なんたる阿呆かと思って暗澹たる気持ちになるかの違いだ、といってもいい。

作文は大物です。一筋縄でいく相手じゃない。そのことを、保護者の方はよく知っておく必要があります。

そもそも何のための作文か

この先、繰り返し同じ主張を書きますけれども、作文教育には2つの側面があります。

ひとつは、文章の書き方を学ぶこと。もうひとつは、考える方法を学ぶこと。

どちらも重要ですが、優先順位をつけるなら後者が上です。断言してもいい。考えることができない子は文章を書けません。逆に文章のいろはは知らなくとも、考えることができるなら、とにかく下手でも何でも作文は書けます。

今、とにかく子どもに作文を書かせたい、そうしないと夏休みが終ってしまう、そういって焦っている保護者方に向けて、私はアドバイスをしようとしているわけです。この講座においては、完成した作文のできの良し悪しは問わないことにいたします。そもそも私自身、その点は心もとない。

したがって、私は上手な作文の書き方についてはほとんど何も書きません。この先、そのことを念頭において解説を読み進めていただきたいと思います。

(2006-08-14)

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